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月に1回しか釣りに行けないなら、
何を狙う?
─ 東京湾・相模湾の
年間釣行カレンダー

毎週海に出られる人は少ない。多くの釣り人にとって船釣りは「月に1回、取れれば2回」の行事だ。 限られた12回を何に使うかを考えるとき、いちばん大事なのは「その釣りは何か月間できるのか」を知っておくこと。 直近1年(2025年9月〜2026年8月)に神奈川の釣り船98軒から記録された約2万2千件の釣果報告を月ごとに並べると、 アジやマダイのように一年中船が出ている釣り物と、イサキやキハダのように3か月しか船が出ない釣り物がはっきり分かれる。 この記事は、その「旬の長さ」を軸に東京湾・三浦半島・相模湾の1年を整理した、後から何度も見返すためのカレンダーだ。

考え方 ─ 「長い釣り」は月を選ばず、「短い釣り」に月を割く

月1回の釣行で年間12枚のカードがあるとして、アジに1枚使うのはいつでもいい。 東京湾・相模湾のアジ船は1年12か月すべてで出ていて、いちばん釣った人の平均は44〜66匹と、冬でも夏でもほとんど変わらない。 一方でイサキは6〜8月の3か月に出船が集中し、9月に入ると船はほとんど別の魚に向かう。 つまり短い旬の釣りは「その月に行かないと来年まで待つ」ことになり、長い旬の釣りは天気の悪い月の穴埋めに回せる。

そこで、直近1年の月ごとの釣果報告数を魚種別に並べ、いちばん報告が多かった月の3割以上の船が出ていた月を「旬の月」と数えた。 その月数が短い順に並べたのが次の表だ。数字はあくまで「船宿がその魚を看板に船を出した月の数」で、釣れやすさの順ではない。

旬の長さ 釣り物(旬の月数) 読み方
短い(2〜3か月) シイラ 2 / ムギイカ 2 / クロダイ 2 / メジナ 2 / イサキ 3 / キハダ 3 / カツオ 3 / カンパチ 3 逃すと来年。月1回派が優先して枠を割くべき釣り
中くらい(4〜6か月) スルメイカ 4 / トラフグ 4 / アナゴ 4 / マダコ 5 / カワハギ 6 / マルイカ 6 / ヤリイカ 6 / クロムツ 6 シーズン中に1〜2回チャンスがある。天気で1回流しても取り返せる
長い(7か月以上) アジ 12 / ヒラメ 12 / マダイ 11 / アマダイ 11 / シロギス 10 / マゴチ 8 / タチウオ 7 / アオリイカ 7 / ワラサ 7 いつでも行ける定番。予定が崩れた月の受け皿にする

※ 2025年9月1日〜2026年8月31日、神奈川(東京湾・三浦半島・相模湾)の釣り船98軒の釣果報告 21,664件を集計。 「旬の月」は、その魚種の報告がいちばん多かった月の3割以上の報告があった月。報告が年間40件未満の魚種は除いた。

月別カレンダー ─ 「今しかない釣り」と「長く楽しめる釣り」

以下は直近1年の報告数を月ごとに見て、その月に船が集中していた釣り物を「今しかない」、 一年を通して出ている釣り物を「長く楽しめる」に分けたもの。 9〜12月は2025年、1〜8月は2026年の数字で、年によって前後1か月はずれると思って読んでほしい。

月 今しかない釣り(短い旬) 長く楽しめる定番 ひとこと
1月ヤリイカ / トラフグ / ホウボウ / シーバスアマダイ / カワハギ / マダイ / アジ北風で欠航が増える。予備日を持ちたい月
2月マルイカ開幕 / トラフグ / クロムツアマダイ / アジ / ヒラメ年間で報告がいちばん少ない月。空いている
3月乗っ込みマダイ / トラフグ / 春マゴチマルイカ / クロムツ / アジマダイの報告が前月の1.8倍に跳ねる
4月トラフグ最終盤 / クロダイ / アナゴ開幕マダイ(年間ピーク)/ マルイカ / アジタチウオは年間でいちばん船が少ない
5月マルイカ(年間ピーク)/ アナゴ / クロダイ / ムギイカアジ(年間ピーク)/ シロギス / カサゴアナゴは夕方便。仕事帰りでも成立する
6月マダコ解禁 / イサキ(年間ピーク)/ ムギイカシロギス / スルメイカ / アジ短い旬が3つ重なる。枠が足りない月
7月イサキ / スルメイカ(年間ピーク)/ シイラ夏タチウオ / マダコ / シロギス(年間ピーク)半日便で数が出る釣りが揃う
8月カツオ(年間ピーク)/ キメジ / シイラタチウオ(年間ピーク)/ マダコ / シロギス台風で1回流れる前提で組む
9月カンパチ / イナダ / ホンガツオタチウオ / ワラサ / アジ2026年は松輪のワラサが9月に急伸
10月キハダ(年間ピーク)/ カツオ / アオリイカ開幕カワハギ / ワラサ / タチウオ相模湾の大物と東京湾の小物、どちらに割くか
11月アオリイカ(年間ピーク)/ ヤリイカ / ワラサ(年間ピーク)カワハギ / アマダイ / アジキハダは11月まで船が出ている
12月ヤリイカ / キンメダイ / ホウボウカワハギ(年間ピーク)/ アマダイ / マダイ食味は年間最高。寒さ対策で勝負が決まる

冬(12〜2月)─ 深場と冬イカ、船は減るが魚は太い

報告数は年間でいちばん少なく、2月は1,256件と夏の半分ほど。北風で欠航する日も多いので、月1回派は「第一候補の日が流れたら翌週に振る」前提で予定を組んだほうがいい。 そのぶん船は空いていて、食味はどの魚も年間最高だ。

今しかないのはヤリイカ。船は10月に立ち始め、11月に67件のピーク、12〜1月と続いて4月で終わる。 腰越の飯岡丸、葉山の長三朗丸、長井のはら丸が主力で、いちばん釣った人の平均は月によって9〜19杯。 電動リールと水深100m超の釣りになるので、道具を持たない人はレンタルの有無を予約時に確認したい。 ホウボウは12〜3月にしか船が立たず、平塚の庄三郎丸がほぼ一手。 トラフグは1月に始まって4月に89件のピークを迎える春の釣りで、茅ヶ崎の沖右ヱ門丸と川崎の中山丸が代表格。

長く楽しめる側ではアマダイとカワハギがこの季節の主役。 アマダイは9月から翌3月まで毎月120件以上の報告があり、茅ヶ崎のゆうせい丸、葉山の五エム丸が年間200件近く出している。 カワハギは12月に271件で年間のピーク、久比里のみのすけ丸だけで1年に430件と圧倒的だ。 どちらも1〜3月まで船が続くので、冬の枠が1枚しかなければ「ヤリイカかトラフグ」に使い、アマダイ・カワハギは天気が崩れた月の代替にするのが賢い。

春(3〜5月)─ 乗っ込みマダイと、初夏へ向かう短い旬の連続

3月に入ると報告数が1,679件へ戻り、4月・5月と増えていく。 主役はマダイで、2月の145件から3月に260件、4月に318件と年間ピークを刻む。 三崎のあまさけや丸、茅ヶ崎の孝太郎丸・沖右ヱ門丸、横浜の一之瀬丸が主力。 ただしマダイは一年中船が出ている魚で、いちばん釣った人の平均は2〜4枚と月による差が小さい。「今しかない」のは数字より乗っ込みの大型が混じる可能性のほうだ。

短い旬が本領を発揮するのは4〜5月。マルイカは2月に葉山で立ち始め、5月に185件で年間ピーク(いちばん釣った人の平均31杯)、7月まで続いて8月に終わる。 五エム丸・長三朗丸・秀吉丸と葉山勢がそろい、茅ヶ崎のまごうの丸も出す。 アナゴは4月に開幕して5月に118件のピーク、8月には消える。川崎の中山丸と羽田のかみやが中心で、夕方出船の便が多く「土曜の午後から」でも成立する。 クロダイは4〜5月の2か月に報告が集中し(5月は86件)、平塚の庄三郎丸・庄治郎丸が主戦場。 ムギイカは5〜6月に真鶴の誠いち丸を中心に立つが、5月の報告が2025年の130件から2026年は37件へ減っていて、年による差が大きい釣りだ。

つまり5月は「マルイカ・アナゴ・クロダイ・ムギイカ」と短い旬が4つ重なる。月1回派にとっていちばん枠が足りない月で、 ここに2回目の釣行を捻出できるなら、その価値は他の月より高い。

夏(6〜8月)─ 短い旬が最も密集する3か月

報告数は7月2,434件・8月2,475件と年間最多。船が出ている魚種の数も多く、迷いやすい季節だ。 「今しかない」筆頭はイサキで、5月90件から6月に299件へ跳ね、7月227件、8月62件と急に減る。 いちばん釣った人の平均は6月69匹・7月75匹。松輪の正海丸・成銀丸・伝五郎丸・大松丸と、松輪の船がそろって剣崎沖に向かう。 マダコは6月解禁で6〜7月に200件前後、横浜の長崎屋がこの1年で270件、羽田のかみやが137件。 スルメイカは7月に188件でピーク、長三朗丸・はら丸・長井の儀兵衛丸が主力で、8月には半減する。

8月に入ると主役が青物へ切り替わる。カツオは7月17件から8月に188件へ急増し、9〜10月に80件前後で続いて11月に終わる。 シイラは7〜8月に報告が集中する夏限定の釣りで、平塚の庄三郎丸・庄治郎丸がほぼ一手に出している。 一方で長く楽しめる側のタチウオは8月に543件と年間最多になり、横浜の一之瀬丸、大津のこうゆう丸、鴨居の石川丸が連日出船する。 シロギスも7月256件でピーク。この2つは午前・午後の半日便が多く、暑さの厳しい時期に「4時間だけ」で数が出る貴重な選択肢になる。

注意点は台風。8〜9月は年に何度か週末ごと丸つぶれになるので、短い旬の釣り(イサキ・カツオ・シイラ)は7月中、遅くとも8月前半に押さえ、8月後半の枠はタチウオ・シロギスのような「流れても翌月に振れる釣り」に当てるのが安全だ。 波の高さで釣果がどう変わるかは、波の高さと釣果の関係を2万便で検証した記事で魚種別に整理している。

秋(9〜11月)─ 相模湾の大物か、東京湾の小物か

秋は相模湾と東京湾で性格がはっきり分かれる。相模湾はキハダで、9月110件、10月263件の年間ピーク、11月170件と3か月に集中する。 葉山の秀吉丸・五エム丸、小坪の太郎丸、茅ヶ崎の沖右ヱ門丸が主力だが、いちばん釣った人の平均は1〜2本。 ボウズ覚悟で1本を狙う釣りで、月1回の貴重な枠を使うには覚悟が要る。同じ相模湾でもカンパチ・イナダは9〜10月に茅ヶ崎のまごうの丸・ゆうせい丸が数を出しており、こちらは「釣れる青物」として現実的な選択肢だ。

東京湾側はカワハギが10月160件から11月239件、12月271件と伸びていき、久比里・大津・羽田から毎日船が出る。 アオリイカは10月に立ち始めて11月に100件のピーク、茅ヶ崎の沖右ヱ門丸と大津のきよし丸が中心。 そしてワラサ。2025年は11月の67件がピークだったが、2026年は9月に入って150件と前年同月の4倍に跳ねた。 三崎のあまさけや丸が1年で169件、松輪の成銀丸・伝五郎丸も追う。年によって本番が2か月ずれる釣りなので、このカレンダーではなく最新の釣果を見て決めたい。

準備の負担で分ける ─ 借りて済む釣り、道具から入る釣り

旬の長さと同じくらい大事なのが「その釣りに行くまでの準備」だ。月1回しか行けないなら、道具をそろえる時間もお金も限られる。 神奈川の釣り船で船宿のレンタルタックルが用意されている割合が高いのは、やはり東京湾の軽い道具の釣り。逆に相模湾の大物は自前の道具が前提になる船が多い。

準備の負担 釣り物 半日便 目安
借りて乗れる アジ / シロギス / タチウオ / マダコ / アナゴ / カサゴ 多い(午前・午後・夕方) 竿・リールは船宿レンタル、仕掛けは船で買える。初回1万円前後で収まる
仕掛けから自前 カワハギ / マルイカ / イサキ / マダイ / アマダイ / トラフグ / アオリイカ 一部(カワハギ・マルイカに午後便あり) レンタル竿はあるが、専用の仕掛け・エギ・カットウは自分で用意する船が多い
道具から入る ヤリイカ / スルメイカ / クロムツ / キンメダイ / ワラサ ほぼ1日便 電動リールと水深100m級の釣り。レンタルの有無は船宿ごとに差が大きい
遠征級 キハダ / カツオ / カンパチ / シイラ 1日便のみ 大型クーラーと専用タックルが前提。初回はコマセ便のカツオが入りやすい

※ 半日便の有無・レンタルの範囲は船宿ごとに異なる。表は当サイトに登録された船宿情報と釣果報告の記載をもとにした大まかな傾向で、必ず予約時に確認してほしい。 料金の相場やレンタルでまかなえる範囲ははじめての船釣りガイドにまとめている。

月1回派にとって現実的なのは、「借りて乗れる」釣りを土台にして、年に2〜3回だけ道具を買い足す釣りを足す形だ。 たとえばカワハギの竿を1本買えば10〜3月の半年間が埋まり、マルイカのスッテを一式そろえれば2〜6月に使える。 1年で2つの釣りを増やせば、3年で「借りる釣り+6つの自前の釣り」になる。

12回の使い方サンプル ─ 確実派と挑戦派

ここまでの材料で、年12回の釣行を組んでみる。左は「毎回お土産を持ち帰りたい」確実派、右は「今しかない釣りを取りにいく」挑戦派。 どちらも短い旬に6枠、長い旬に6枠を目安に配分している。天気で1回流れたら、その月は長い旬の釣りに振り替えればいい。

月 確実派(お土産重視) 挑戦派(今しかない重視)
1月アマダイ(相模湾)ヤリイカ(葉山・長井)
2月アジ(東京湾、半日)マルイカ開幕(葉山)
3月乗っ込みマダイ(三崎・茅ヶ崎)トラフグ(茅ヶ崎・川崎)
4月カサゴ・アジ(東京湾、半日)クロダイ(平塚)
5月アナゴ夕方便(川崎・羽田)マルイカ本番(葉山)
6月イサキ(松輪)マダコ解禁(横浜・羽田)
7月シロギス(東京湾、半日)スルメイカ(葉山・長井)
8月タチウオ(横浜・大津、半日)カツオ(茅ヶ崎・葉山)
9月タチウオ or アジ(流れたら振替)ワラサ(三崎・松輪)
10月カワハギ(久比里)キハダ(葉山・小坪)
11月アマダイ(茅ヶ崎・葉山)アオリイカ(茅ヶ崎・大津)
12月カワハギ(久比里・大津)キンメダイ(小坪)

確実派の12回は、夏休みの釣り物選びで整理した「その日いちばん釣れなかった人にも釣果が出た割合」が高い釣りを中心に組んでいる。 挑戦派は8〜10月に外れの多い青物が3つ並ぶので、この3か月は「1回はボウズもある」と割り切っておきたい。 現実には両方を混ぜて、短い旬の月だけ挑戦派、それ以外は確実派という組み方がいちばん長続きする。

カレンダーを使うときの注意

月1回派のための4つの原則
  • 短い旬は前倒し。イサキは6月、カツオは8月前半、キハダは10月前半。後半に回すと台風や北風で来年に持ち越しになる
  • 長い旬は振替用。アジ・タチウオ・アマダイ・カワハギ・マダイは予定が流れた月に回しても数字がほとんど落ちない
  • 年でずれる釣りは最新釣果で決める。ワラサ・ムギイカ・キハダは前年と本番が2か月ずれることがある。行く前に今週末の釣況を確認する
  • 準備は年に2つまで。借りて乗れる釣りを土台に、道具を買い足す釣りは1年に1〜2種類ずつ増やす

このカレンダーは直近1年の数字で作ったもので、来年も同じとは限らない。 月ごとの最新の釣況は月別の釣りカレンダーで、エリア全体の今週の動きは東京湾・三浦半島・相模湾のエリアページで確認してほしい。

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