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台風の前日、剣崎沖は
半日で今週いちばん釣れた
─ 松輪のワラサと「打数・安打」の週末

9月20日、台風25号の最接近を翌日に控えた雨と北風のなかで、 松輪の 瀬戸丸が ワラサの竿頭18本、 伝五郎丸は2隻で船中80本弱を記録した。 どちらもこの1週間でいちばんの数字だ。ただし、この日は5軒とも 10時から10時半に早上がりしている。半日で出た数、ということになる。

荒れた日にピークが来た

剣崎沖のワラサは9月に入ってからずっと釣れていた。木曜(17日)の時点でも瀬戸丸が10本、 大松丸と成銀丸が9本と出ている。それが金曜・土曜にいったん落ち着き、 台風が近づいた日曜にいちばん伸びた。 松輪5軒の竿頭を並べると、揃って同じ形をしているのがわかる。

船宿9/18(金)9/19(土)9/20(日)
瀬戸丸 7 本 3 本 18 本
伝五郎丸 3 本 5 本 11 本
大松丸 5 本 5 本 10 本
成銀丸 4 本 8 本 10 本
正海丸 4 本 8 本 8 本

各日の釣果報告に出た「いちばん釣れた人の本数」。9月20日は5軒とも雨風・台風対策のため10時〜10時半で切り上げている。

4軒がこの日に週内最多を出し、正海丸も前日と並ぶ8本。 しかも正海丸は最少の人でも2本、瀬戸丸と伝五郎丸は型を見られなかった人がゼロだ。 竿頭だけが突出した日ではなく、船全体が底上げされた日だった。 サイズも3〜5kg級が中心で、細かった前週から一段上がっている。

潮が動かない日ほど、コマセが効く

不思議なのは潮回りで、9月18日・19日が小潮、20日は長潮。 1か月のなかでもっとも潮が動かない並びだ。ふつうなら苦戦を覚悟する日程なのに、 いちばん動かないはずの長潮に数が出ている。

手がかりは三崎の あまさけや丸の報告にある。 潮がゆるい早朝ほど魚が船の下に留まりやすく、3〜5分という短い間隔で寄せ餌を打ち替えて 足止めできればヒットが連鎖する、という趣旨の説明だ。 つまり潮が流れないことは、寄せ餌を使う釣りでは必ずしも不利ではない。 流れてしまえば撒いた餌も魚も船下から出ていく。

成銀丸の20日の報告も「切れ間なくアタリが続いた」で、 潮が変わるタイミングにはマダイやシマアジまで交じっている。 大松丸はこの日3隻を出して朝からフィーバータイム。 荒天で釣り座が限られ、船が風で流される条件でも、 群れが船の下に居着いていたことは各船の書きぶりから一致している。

船宿が「打数・安打」で釣果を語った週末

この週末の剣崎沖でもうひとつ目を引いたのが、複数の船宿が 掛けた回数と、実際に取り込んだ本数を書き分けていたことだ。 正海丸は野球の打数・安打の形で、つまり「何回アタリを掛けて、そのうち何本を船に上げたか」を 3日間それぞれ記録している。以下はいずれもその日の竿頭の数字だ。

日付掛けた回数取り込んだ本数その日の様子
9月18日(金) 12 回 4 本 水面バラシがほとんど。やや波があった
9月19日(土) 10 回 8 本 北風が弱まって海が落ち着いた
9月20日(日) 13 回 8 本 雨と北風。10時に帰港

正海丸の釣果報告より。いずれもその日いちばん釣った人の数字。

18日は12回掛けて4本。19日は10回掛けて8本。掛けた数はほとんど変わらないのに、 持ち帰れた数が倍になっている。2番手の人も同じ傾向で、18日は8回掛けて4本、 19日は10回掛けて6本だった。上手い人ひとりの調子の問題ではなく、 船全体でその日の取り込みやすさが変わっている。

同じことを他の船も書いている。瀬戸丸は19日に船中40回以上のアタリに対してキャッチが20本、 ちょうど半分。千良丸は18日に 「ヒット数の半分も取り込めなかった」、 小網代の 新谷丸は19日に7本掛けて4本という人がいた。 そして20日の瀬戸丸は、船中で130〜140回のアタリ。 取り込み率が劇的に改善したというより、分母が桁違いに増えたから竿頭18本が出た、 という読み方のほうが実情に近い。

なぜバラすのか、何を変えると獲れるのか

原因について、船宿のコメントはおおむね一致している。今の剣崎沖のワラサは型が良く、 瀬戸丸は18日に8号のハリスを切られる場面があったと書いている。 正海丸は19日に、良型が多いぶんバラシも多いので やや硬めの竿のほうが有利だという見立てを添えた。 柔らかい竿だと、掛けたあとに主導権を渡してしまうということだろう。

正海丸が18日に「水面バラシがほとんど」と書いているのも示唆的だ。 取り込み直前、魚が水面で反転する場面で外れている。 同じ日にやや波があったことも影響したか、と船長自身が書き添えている。 19日は北風が弱まって海が落ち着き、その日に取り込み率が10回中8本まで上がった。 波が高い日ほど、最後のひと呼吸で外れるという関係がこの3日間には見える。

この週末、獲れていた人の共通点
  • 硬めの竿で主導権を渡さない(正海丸)
  • 寄せ餌を短い間隔で打ち替え、魚を船の下に足止めする(あまさけや丸)
  • 船全体で餌を撒く深さを揃える。瀬戸丸は17日に、これと素早い手返しが効いて竿頭がバラシなしの10本だったと書いている
  • 波がある日は、水面まで来てからが本番と考えて慎重に

なお仕掛けについて、正海丸はワラサ狙いでハリス8号6m・ヒラマサ針12号という仕様を案内している。 8号を切られる型が出ているのだから、ここを細くして掛かりを稼ぐ発想は今の剣崎沖では裏目に出やすい。

剣崎沖で「掛けてから」が話題になるのは今回が初めてではない。 8月末にも同じ港からハリス切れの報告が並んだが、 あのときはマダイやシマアジを狙っている船に青物が不意に入ってきた、いわば事故としてのハリス切れだった。 いまはワラサ専用の太いハリスで、狙って掛けたうえで起きている。 1か月でそういう段階に入っている。

台風が抜けたあと

9月21日は松輪の各船とも出船を見合わせた。台風25号の最接近にあたった日だ。 再開は22日からで、伝五郎丸はワラサ・マダイ船を予定、瀬戸丸も火曜からの出船を見込んでいる。 正海丸にいたっては22日・23日とも、すでに定員締切になっている。

シケの後に群れがどう動くかは明けてみないとわからないが、 20日の時点で船全体が底上げされていたことと、 正海丸が21日に「今後も有望」と書いていることを踏まえると、 大きく落ちる材料は今のところ見当たらない。 潮回りは21日の若潮から中潮へ向かって動き出す。 潮がゆるいうちに寄せ餌で足止めして数を取る釣りから、 流れを使う釣りへ切り替わっていく時期でもある。

同じ週末、剣崎沖以外でもワラサは動いていた。 平塚の 庄治郎丸は18日に船中6尾、 茅ヶ崎の 海成丸は生きた小魚を泳がせて18日に竿頭3本。 内房の勝山でも利八丸が 3.5〜7.3kgという太い個体を上げている。 三浦半島だけの現象ではない。

まとめ

  • 9月20日、台風最接近の前日に剣崎沖のワラサがこの週の最多を記録。松輪5軒のうち4軒が週内トップの数字
  • ただし5軒とも10時〜10時半に早上がり。半日での数字だった
  • 潮回りは小潮から長潮という動かない並び。潮がゆるい日は寄せ餌が効いて魚を船の下に留めやすい
  • 釣果差は掛けたあとについていた。正海丸の記録では12回掛けて4本の日と、10回掛けて8本の日がある
  • 型が良く8号ハリスが切られる。硬めの竿と、水面での慎重な取り込みが鍵
  • 22日から順次再開。正海丸は22日・23日とも定員締切

本数は船宿の釣果報告に出た値で、報告が出なかった日は集計に入らない。 また同じ船宿が複数の船を出した日は、いちばん多い船の数字を採っている。

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