2026年春、
神奈川で「早く動いた魚」と
「遅れた魚」
─ 海水温が高い春は、全部前倒し、ではなかった
4 月以降、釣り雑誌や船宿ブログには「今年は水温が高く例年より 1〜2 週間早い」という 声がよく出ている。確かに気象庁の海面水温は太平洋側で平年 +0.5〜1.5℃。 では神奈川の船宿で見ると、本当にすべての魚が早回りしているのか。 魚種ごとに 2025 年と 2026 年の「春便スタート日」と「3〜4 月の活性」を比べてみた。
結論:明確に早かったのは 4 種、変わらないが 2 種、遅れたが 2 種
対象 8 魚種を「春便スタート日」「3〜4 月の平均トップ匹数(前年比)」で並べると、 全部前倒し、ではなく魚種でかなりはっきり差が出る結果になった。
| 魚種 | 判定 | 春便スタート(2025→2026) | 3〜4月 平均トップ 前年比 | 対象船宿 |
|---|---|---|---|---|
| マルイカ | ⏪ 早い | 4月27日 → 1月14日(約3か月早い) | 165% | 3船宿 |
| シロギス | ⏪ 早い | 5月21日 → 4月25日(26日早い) | 348% | 5船宿 |
| カサゴ | ⏪ 早い | 4月27日 → 3月初旬(約3〜4週早い) | 増(n少) | 5船宿 |
| アオリイカ | ⏪ 早い | 4月にはほぼ無し → 3月18日(1か月以上早い) | — | — |
| マダイ | ◯ 例年並み | 1月6日 → 1月3日(ほぼ同日) | 93% | 28船宿 |
| カワハギ | ◯ 例年並み | 1月2日 → 1月2日(同日) | 117% | 13船宿 |
| タチウオ | ⏩ 遅い | 2月24日 → 3月20日(24日遅い) | 43% | 8船宿 |
| ヤリイカ | ⏩ 遅い | 1月2日 → 1月2日(同日) | 24% | 2船宿 |
※ 「春便スタート」は、2025・2026 両年に同じ魚種の釣果がある船宿(コホート)に絞り、 その年内で最初に釣果が記録された日の中央値。 通年で出る魚種(マダイ・カワハギなど)は「スタート」を測りにくく、判定は 3〜4 月の平均トップで行う。 対象期間は 1 月 1 日〜5 月 20 日。
① はっきり早かった:マルイカ・シロギス・カサゴ・アオリイカ
春便のスタートも 3〜4 月の活性も、両方で明確に前年を上回ったのが マルイカ・シロギス・カサゴ・アオリイカの 4 種。
前年は 4 月下旬まで本格化しなかったマルイカが、今年は 1 月中旬から船中 30 杯級を継続。 相模湾東(小田原)と三浦半島東(剣崎沖)の中深場が主戦場で、 春便としては 2024 年以来の当たり年になっている(別コラムで詳報)。
東京湾の砂地ポイントが 4 月後半から船中 100 尾級を連発。 長崎屋・つり幸・中山丸など東京湾の船宿が押し並べて好調で、 3〜4 月の平均トップは前年の 3 倍超。今年最も「早く・濃く」釣れている魚種。
カサゴは前年 3 月に 1 便も釣果記録がなかったのに対し、今年は 3 月だけで 9 便と 継続して出ている。アオリイカも前年 4 月の釣果記録は 0 便だったが、 今年は 4 月だけで 30 便。母数は小さいが「春先から動いている」のは確か。
② 例年並み:マダイ・カワハギ
通年で釣れているマダイ・カワハギは、3〜4 月の平均トップで見ても 前年とほぼ同水準に収まった。 マダイは平均 4.7 匹 → 4.4 匹で前年比 93%、カワハギは 9.2 匹 → 10.7 匹で 117% と、 どちらも「劇的な変化」というほどではない。
| 魚種 | 3〜4月 出船数(コホート船宿) | 2025 平均トップ | 2026 平均トップ | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| マダイ | 504 → 577 | 4.7匹 | 4.4匹 | 93% |
| カワハギ | 26 → 92 | 9.2匹 | 10.7匹 | 117% |
マダイの乗っ込みについては「全体が早回り」というニュースの肌感とは一致しない。 水温が上がっても、もともと通年釣れる魚は「ピークがずれる」より「平均値が動く」 という出方になるのが今年のパターンに見える。
③ むしろ遅れた・渋い:タチウオ・ヤリイカ
全部が早くなったわけではない。タチウオは春便スタートが 24 日遅れ、 3〜4 月の平均トップは前年の 43%。 春タチウオは別コラムで詳しく書いた通り、今年神奈川では明確に不調が続いている。
ヤリイカはスタート日こそ変わらないが、3〜4 月の平均トップが 前年比 24%。船宿ブログでも「群れが薄い」「終わりが早い」というコメントが多く、 春のヤリイカ便としては明確に不作の年になった。
- 早かった:マルイカ・シロギス・カサゴ・アオリイカ (砂地〜中深場・暖水寄り・回遊性が比較的弱い魚)
- 遅れた:タチウオ・ヤリイカ (回遊性が強く、群れの集まりが水温・潮況に左右される魚)
仮説:水温に「敏感だが居着く」魚ほど恩恵を受けやすい
「春が早い」とひと言で言われがちだが、神奈川データを見る限り、 恩恵を受けたのは春に水温で活性が上がり、かつそのエリアに居着いて漁場が動かない魚 (マルイカ・シロギス・カサゴ・アオリイカ)に偏っている。 逆に、回遊性が強く群れの集合場所が潮況で変わる魚(タチウオ・ヤリイカ)は、 水温が上がっても「沿岸の特定の港で釣れる」状態にはまだ戻ってきていない。
これは「黒潮大蛇行の終息が近い」と言われている状況とも整合する話で、 沿岸寄りの暖水魚は早めに目が覚めても、沖を流れる潮道に依存する回遊魚は まだ動き方が安定しない、というのが今年の春のおおまかな見取り図だ。
まとめ:5月後半〜6月の狙い方
- 「もう動いている」マルイカ・シロギス・アオリイカは 5 月のうちに楽しんでおくのがおすすめ
- マダイ・カワハギは例年通り。プランは前年と同じ感覚でOK
- タチウオ・ヤリイカは渋いので、本命にせず五目の中の 1 種として狙う方が安全
- 梅雨明け以降は、暖水魚(イサキ・シマアジ・カツオ)の前倒し度を改めて検証する予定
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