2026年春、タチウオが渋い
つりれぽデータで読む不調の輪郭
「去年・一昨年と比べて、今年のタチウオは釣れていないんじゃないか」── そんな話を聞いた。 つりれぽに溜まっている 3 年分・116 船宿の釣果データ を引っ張り出してみると、 ぼんやりした感覚が、はっきりした輪郭で浮かび上がってきた。 神奈川(三浦半島東・相模湾湘南)の春タチウオは、前年比で半分以下、前々年比では 1/3 まで落ちている。 ── 今シーズンの春タチウオに、何が起きているのか。
1. まず数字で見る
各釣り船の毎日の釣果から「タチウオが釣れた出船」を抜き出し、1 出船あたりの平均尾数を月別にならべた。 釣果が「○〜○ 匹」と幅で記録されているときは、その真ん中の数字を 1 出船分として扱っている ─ ラフな集計なので、絶対値ではなく 年同士の比較で読む数字だと思ってほしい。
1 月は 2025 年の調子がそのまま乗っかったかのように 2026 年も 15.1 尾。 ところが 2 月から急ブレーキ。 2 月で 2025 年比 -48%、3 月で -63%、4 月でも -59%。 2024 年比で見るともっと厳しく、3 月は前々年比 -79%、4 月は -76%。 例年 7〜18 尾は出ていた春タチウオが、今年は 3〜5 尾の世界で動いている。
2. 「同じ船で比べる」と、もっとはっきり下がっている
全船平均だと「2026 年に新しく取り込んだ船宿」のクセが混ざる。 そこで、3 年とも同じ月にタチウオ出船を記録している船宿だけに絞って再集計してみた。 母数は減るが、フェアな前年比較に近づく。
| 月 | 対象船宿数 | 2024 | 2025 | 2026 | 対 2025 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2 月 | 1 軒 | 11.0 | 7.9 | 3.8 | -52.6% |
| 3 月 | 5 軒 | 16.6 | 9.9 | 3.6 | -63.6% |
| 4 月 | 3 軒 | 11.3 | 7.5 | 3.8 | -49.2% |
| 5 月 | 2 軒 | 3.8 | 5.5 | 2.8 | -49.2% |
※ 対象になる船宿は 2 月で 1 軒、3〜4 月で 3〜5 軒と小さい。「神奈川の主要タチウオ船」という限られたグループのシグナルとして読むのが正確。 それでも 3 月で前年比 -63.6%、前々年比 -78.3% という落差は、無視できないサイズ感。
3. エリアによって温度差がある
この不調は「全国一斉に」起きているわけではない。エリア別に並べると、はっきり 神奈川の春タチウオ の話だとわかる。
| エリア | 2024 | 2025 | 2026 | |
|---|---|---|---|---|
| 三浦半島東 | 8.8 | 11.0 | 4.3 | ↓ 不調 |
| 相模湾湘南 | 15.0 | 11.0 | 7.0 | ↓ 不調 |
| 東京湾 | 11.0 | 13.6 | 9.3 | 〜 横ばい〜やや不調 |
| 内房 | 13.7 | 15.9 | 10.3 | 〜 横ばい〜やや不調 |
| 相模湾西 | 17.6 | 25.4 | — | — 出船記録なし |
| 鹿島灘 | — | 48.4 | 62.6 | ↑ 好調 |
- 三浦半島東(剣崎・松輪・三崎):8.8 → 11.0 → 4.3。看板魚種の一つだったタチウオがほぼ半減。
- 相模湾湘南(葉山・茅ヶ崎・平塚):15.0 → 11.0 → 7.0。型は出るが「群が短い」コメントが目立つ。
- 東京湾:11.0 → 13.6 → 9.3。下げてはいるが、まだ「狙えば顔は見える」レンジ。
- 内房(千葉):13.7 → 15.9 → 10.3。神奈川ほど落ちていない。
- 鹿島灘(茨城):48.4 → 62.6。むしろ好調で、北側のタチウオは別の物語を生きている。
「タチウオがいなくなった」のではない。 東京湾〜相模湾の春タチウオの流れだけが、今年は明らかに細い。
4. 個船ベースでも、ほぼ全船下がっている
上の集計の中身を見るために、3 年連続で 2〜4 月にタチウオ出船を記録している主要船の 1 出船あたり平均をならべた。
| 船宿 | エリア | 2024 平均(出船数) | 2025 平均(出船数) | 2026 平均(出船数) |
|---|---|---|---|---|
| 幸由丸 | 三浦半島東 | 8.7(63) | 6.7(57) | 2.5(50) |
| 庄三郎丸 | 相模湾湘南 | 17.6(68) | 12.8(40) | 11.2(7) |
| 浦安かもしだ丸 | 東京湾 | 18.6(7) | 5.8(32) | 3.9(11) |
| 千葉ひらの丸 | 内房 | 8.4(8) | 8.7(43) | 5.3(21) |
| 第二仙水丸 | 東京湾 | 7.8(2) | 9.6(19) | 4.9(5) |
とくに 幸由丸(三浦半島東) は 2026 年も 50 出船分の母数があり、平均 2.5 尾。 前年(6.7 尾)の約 1/3 で、これは「群に当たるか、当たらないか」のばらつきを母数で吸収した上での数字なので、 実際にボウズに近い日が増えている ことを意味する。
5. 船長コメントに見える「現場の温度」
数字だけだとピンとこないので、各船の AI 要約された出船コメントから印象的なフレーズをひろってみる。 2026 年 4〜5 月、神奈川の主要船から:
-
タチウオは反応に乗るも針掛からず、アジは単発でお菜分。
-
タチウオは雰囲気だけ、アジは単発ポツポツでお菜分。
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タチウオは終始ポンコツでハマれず。アジは単発ながらポツポツでおかずに。
-
ヒラメ最大 2.9kg、当たり控えめながらゲットでき、タチウオ未現。
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ウネリ残るがタチウオ僚船情報で切り身トップ 6 本、ヒラメ後半顔見も後続かず。
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走水 70m でタチウオ反応あれど食い渋く、アジは八景沖でぽちぽち。
共通して出てくるのが「反応はある(雰囲気はある)が食わない」「針掛からない」「群が抜けるのが早い」というパターン。 資源が完全に消えたわけではなく、ベイトはいるが付き場・活性が定まらない 状況が続いていると読める。
※ 著作権配慮のため、原文は引用せず船宿側のコメントを AI 要約したテキストを掲載しています。
6. サイズはむしろ前年並み ─「数」の問題
では「型まで小さくなったのか?」というと、そうでもない。 2026 年に記録されたタチウオの平均サイズは 105.5cm で、2024 年(93.6cm)よりむしろ大きいくらい。 最頻値帯は 90〜120cm で、前年とほぼ同じ。
つまり痩せた魚が増えたわけでも、小型化したわけでもない。 指 4〜5 本クラスは依然として混じる。純粋に「数」が出ないのだ。
7. 何が起きているのか(仮説)
ここから先はデータでは断定できないので、現場のコメントとあわせた仮説として並べておく。
- 越冬群の接岸量が少なめ。 1 月は前年並みなのに 2 月以降に急減している。年明けの群がそのまま居座らずに散ったか、 そもそも沿岸への寄りが弱かった可能性。
- 4 月の早期台風と荒天サイクル。 2026 年 4 月は早い時期に台風由来のウネリが入り、僚船コメントにも「台風ウネリで難易度高く」が並ぶ。 海況が落ち着かないことで群が定まらず、活性も上がらない週が続いた。
- ベイト・水温のずれ。 「反応はあるが食わない」が頻出するのは、ベイト(イワシ等)が浮いているのに付け餌に口を使わないとき特有のパターン。 水温の上下動が大きく、捕食スイッチが入る時間帯が短い可能性。
どれも「これだ」と断じるのは早く、データだけでは判らない。 ただ 「春先の沿岸タチウオが、今年は妙に渋い」 という感覚は、 つりれぽの定量データと現場のコメント両方から、しっかりと裏が取れている。
8. それでもタチウオを狙うなら
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