船から狙うマゴチ
─ 生き餌の基本と、
春の乗っ込み・夏の数釣りの使い分け

マゴチは「アタリがあってから、食わせるまでが長い」という、 船釣りの中でもかなり変わった間合いを持つ魚だ。 アタリで合わせると空振りし、待ちすぎると餌だけ取られる。 そのうえ 釣れる時期がエリアでまったく違う。 東京湾は春と秋の2回に山があるのに、茨城・鹿島灘と宮城・仙台湾は7〜8月にしか記録がない。 本ガイドでは生き餌仕掛けと合わせの基本を押さえたうえで、 直近2年のデータから「どのエリアにいつ行くか」を整理する。

仕掛けは「生き餌の1本針」

船のマゴチは、生きたエビ(関東では車エビの小型を指す「サイマキ」)や 小魚を1本針に付けて、底すれすれを漂わせるのが基本形。 オモリで底を取り、そこから 数十cmだけ浮かせて待つ。 仕掛け自体は単純で、道具立ても軽い。

項目標準セッティング
竿マゴチ専用 or 軽めの汎用船竿 2.4〜2.7m、先調子
リール小型両軸(電動でなくてよい)
道糸PE 1.5〜2号
オモリ15〜25号(船宿指定に従う)
ハリスフロロ 4〜5号、1.5m前後の1本針
丸セイゴ 15〜17号 など軸の太いもの
活きエビ(サイマキ)、ハゼ、小イワシなど。船宿支給が多い

生き餌を使う釣りの考え方は 泳がせ釣りの解説、 テンビンを使う船の場合は テンビン仕掛けの解説 も参照。

基本は「送り込んで、待つ」

  1. 底までオモリを落とし、糸ふけを取って 底を切った位置 でキープする
  2. 船が流されて底が変わるので、1〜2分おきに底を取り直す
  3. 「コツン」とアタリが出ても 合わせない。竿先を送り込んで食わせる
  4. 20〜30秒ほど待ち、重みが乗り切ってから大きく合わせる
  5. 掛かったら一定速度で巻く。首を振るので緩めない

マゴチ釣りが「待ちの釣り」と言われるのはこの3〜4番目のため。 最初のアタリは、餌を口先でくわえただけの段階であることが多い。 秒を数えて待つ くらいの意識で、竿先が完全に押さえ込まれるまで動かさないほうが結果が出る。 逆に餌だけ取られる日が続くなら、待ち時間を少し短くして探る。

釣れる時期 ─ 東京湾は二山、東北・茨城は夏だけ

直近2年に記録されたマゴチ便は全国で848出船。 そのうち7割が東京湾に集まっているが、月別に並べるとエリアの性格がはっきり分かれる。

エリア 1月2月3月4月5月6月 7月8月9月10月11月12月
東京湾1314798610333276280552227
茨城00015749310000
愛知31024291501516
宮城0000019131010
三重0002002111313

直近2年(2024年9月以降)に釣果が記録された出船数。数字は「その月に何回マゴチ船が出たか」で、釣れた数ではない。

東京湾の 3〜5月 は産卵を控えた個体が浅場に差してくる時期で、 5月の103出船が年間の最多。ここから 6〜7月にかけて33・27と落ち込み、 8月の62から9月の80へと再び持ち直す。 つまり東京湾のマゴチは「初夏に一度おとなしくなる」魚で、 梅雨どきに予約すると一番静かな時期を引くことになる。

対して茨城は 7月49・8月31 の2か月にほぼすべてが集中し、 宮城・仙台湾も7〜8月だけ。真夏の短い期間に集中的に狙う釣り物という位置づけになる。 愛知だけは12月16・11月5と冬にも記録があり、他のエリアとは別のリズムで動いている。

エリアごとの最新の釣果と船宿の並びは、それぞれの詳細ページで確認できる。

件数は直近2年に釣果が記録された出船数。

エリアごとの違い

春と秋の二山
東京湾
横浜・羽田

直近2年で601出船。ほとんどが 濱生丸一之瀬丸(ともに横浜)と かみや羽田)の3隻に集まっている。 2025年9月7日に濱生丸で20匹。 専門便が毎日のように出る 唯一のエリアなので、初挑戦ならここが無難。

真夏の2か月
茨城
鹿島・那珂湊

宗和丸清栄丸大栄丸(いずれも鹿島)が中心。 1隻あたりの出船数は東京湾ほど多くないが、7〜8月は複数の船が同時に動く。 2025年7月3日に清栄丸で8匹。 数より1匹の型を楽しむ釣りになる。

数が出る
宮城・三重
仙台湾・伊勢湾

出船数は多くないが、1日の数字が大きい。 天祐丸磯崎)で2026年8月1日に38匹、 りき丸)で同年8月23日に43匹。 関東の10倍近い数字 が出る日があり、数釣りを味わいたいならこの2エリア。

冬にも記録
愛知
知多半島

ウイング篠島)が42出船で中心。 夏に加えて11〜12月にも記録があり、他のエリアが終わったあとに狙える。 1日あたりの数は控えめで、他の魚と合わせた乗合の中で顔を出す形が多い。

データで見る好調船

直近2年でマゴチ便の出船数が多い船宿と、その期間に記録された最多匹数を並べた。

船宿出船数期間内の最多
濱生丸横浜23720匹(2025-09-07)
かみや羽田17713匹(2025-04-18)
一之瀬丸横浜17610匹(2026-04-29)
ウイング篠島424匹(2025-11-27)
宗和丸鹿島306匹(2026-08-01)
清栄丸鹿島238匹(2025-07-03)
天祐丸磯崎1738匹(2026-08-01)
りき丸1443匹(2026-08-23)

「期間内の最多」は、その船宿の釣果報告に記録された1日あたりの上限値。 報告の書き方は船宿ごとに違うので、船同士を単純比較する数字ではない。

サイズは中央値が57cm前後、最大は70cm。 東京湾は数より型が出るエリアで、1日1〜2匹でも50cm後半が揃えば上出来という釣りになる。

よくある質問

マゴチはいつからいつまで釣れますか?
東京湾は3月から10月までが本番で、その中でも春(3〜5月)と晩夏〜初秋(8〜10月)の2回に山があり、6〜7月はいったん静かになります。茨城・鹿島灘と宮城・仙台湾は7〜8月に集中し、それ以外の月はほとんど記録がありません。愛知は8月と12月に記録があり、他のエリアとは違う動き方をします。
マゴチ釣りで一番難しいのはどこですか?
合わせのタイミングです。マゴチは餌をくわえてから飲み込むまでが遅く、最初のアタリで合わせるとほぼ空振りします。竿先を送り込んで20〜30秒ほど食わせの間を作り、重みが乗り切ってから大きく合わせる、という待ちの動作が釣果を分けます。
どのくらいのサイズが釣れますか?
サイズの記録が残っている釣果でみると、中央値は57cm前後、最大は70cmでした。50cm前後が標準で、60cmを超えると「良型」と呼ばれるサイズ感です。数は1日0〜数匹が普通ですが、宮城・仙台湾で38匹、三重・伊勢湾で43匹という記録もあり、エリアによって数の出方が大きく違います。

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