東京湾口「沖ノ瀬」では
何が釣れる?
水深60mから500mまで、
深さで釣り物が変わる海

三浦半島の南、東京湾の出口にあたる沖合に「沖ノ瀬」と呼ばれる瀬がある。 剣崎沖や城ヶ島沖よりさらに沖、船宿が「遠征」と呼ぶことも多いこの海域は、 キンメダイからマダイ、イカまで顔ぶれがやたらと広いのが特徴だ。 当サイトの釣果データから沖ノ瀬に向かった出船記録約360便分(2024年春以降)を集計すると、 その正体は「深さで釣り物が3層に分かれる海」だった。

結論:同じ沖ノ瀬でも「深さ」で3つの釣りに分かれる

沖ノ瀬行きの出船記録を、記録された釣りの水深と魚種で並べ直すと、きれいに3つのグループに分かれる。 まずはその全体像から。

釣り物 水深の目安 主なターゲット ハイシーズン
瀬の上の五目 60〜120m マダイ・イサキ・オキメバル・ウマヅラハギ ほか 5〜6月
イカ釣り 130〜250m ヤリイカ・スルメイカ 12〜3月
深場の五目 300〜500m キンメダイ・クロムツ ほぼ通年(4〜5月・12月が厚い)

※ 当サイトの釣果データベースから、釣り場や船長の報告に「沖ノ瀬」が登場する出船記録(2024年4月〜2026年7月、約360便)を集計。 水深はその日の報告に記録された釣りの深さの typical な範囲。

つまり「沖ノ瀬に行く」と言っても、乗る船によってやることはまったく違う。 瀬の上でコマセを振るのか、中層のイカの群れを追うのか、電動リールで300m以深を狙うのか。 以下、層ごとに「何が・いつ・どの船で・どんな仕掛けで」を見ていく。

沖ノ瀬で記録の多い魚ランキング

まず魚種別に、沖ノ瀬便での登場回数を数えたのが下の表。 1位・2位を深場のキンメダイ・クロムツが占め、冬のイカ2種、瀬の上のマダイと続く。

記録数 サイズの記録 多い月
キンメダイ5927〜51cm4〜5月・12月
クロムツ54最大75cm4〜5月・12月
スルメイカ26胴長17〜48cm2〜3月・夏
ヤリイカ23胴長16〜48cm12〜3月
マダイ220.3〜5kg4〜6月
アマダイ1515〜40cm6〜7月・12月
レンコダイ/ウマヅラハギ各125〜6月
オキメバル94〜6月
メダイ51〜5kg5〜7月

※ 記録数は「その魚の釣果が記録された沖ノ瀬便の数」。ほかにアカイサキ・ヒシダイ・カンコ・オニカサゴ・キントキダイなど、 沖の瀬らしい珍ゲストが少数ずつ記録されている。

① 深場のキンメ・クロムツ(水深300〜500m)─ 記録数はここが最多

沖ノ瀬でいちばん記録が多いのが、水深300〜500mを狙うキンメダイ・クロムツの深場五目だ。 主力は小坪の太郎丸で、「キンメ・ムツ五目船」として定期的に出している。 キンメダイはいい日で1人20匹超え、普通の日でも10匹前後がトップの目安。 27〜51cmと型も幅があり、クロムツは最大75cmという大型の記録もある。

仕掛けは深場釣りの定番で、オモリ300号+電動リールの胴付き多点針。 水深が水深だけに専用タックルの世界だが、太郎丸の報告を読むとレンタルタックルで参加して お土産を確保している乗船者もめずらしくない。深場入門の場所としては、実はハードルが低い。

時期はほぼ通年動いているのがこの釣りの強みで、記録は4〜5月と12月に厚い。 瀬の上の五目やイカが端境期でも、深場だけは動いていることが多い。

② 瀬の上のコマセ・ウィリー五目(水深60〜120m)─ 魚種の多彩さはここが一番

瀬の上、水深60〜120mで狙うのがマダイを筆頭にしたコマセ五目・ウィリー五目。 マダイ0.3〜5kgにイサキ・オキメバル・アカイサキ・ウマヅラハギ・レンコダイ、 ゲストに1〜5kgのメダイまで交じる、沖ノ瀬でいちばん「何が来るかわからない」釣りだ。 ハイシーズンは5〜6月で、初夏の記録が集中している。

通っている船は、葉山の秀吉丸(コマセ五目の遠征として)、 小坪の太郎丸(「沖の瀬ウィリー五目船」)、 茅ヶ崎のまごうの丸、 松輪の正海丸(マダイ五目で剣崎沖とのリレーも)あたり。

仕掛けの目安は船長たちの報告に具体的に残っている。 秀吉丸のマダイ狙いはオモリ120号・ハリス3号4.5m・2〜3本針のオキアミエサ。 まごうの丸は潮が速い日が多いためコマセカゴはFLサイズ80号で統一、道糸3〜4号、クッションゴムは30cmまでという船宿指定がある。 太郎丸のウィリー五目では良型イサキのダブル・トリプル掛けが定番で、自作の5本針仕掛けで4点掛けした乗船者の記録も。 いっぽう共通の悩みはサバの猛攻で、サバが多い日は針数を1本に減らして本命に絞る、という対応が報告されている。

③ ヤリイカ・スルメイカ(水深130〜250m)─ 冬〜早春の主役

冬になると沖ノ瀬はイカ釣り場に変わる。ヤリイカは12〜3月、スルメイカは2〜3月が中心で、 スルメは夏(8月前後)にも記録がある。トップの数はスルメで20杯超えが標準、いい日は60杯超、 ヤリイカは20杯前後で最大33杯。城ヶ島沖や洲崎沖と1日の中でリレーするパターンも多い。

通っているのは長井のはら丸、 茅ヶ崎のまごうの丸、 葉山の長三朗丸、 羽田のかみやなど。

仕掛け選びで面白いのは、直結とブランコの使い分けについて各船長の見解がほぼ一致していること。 報告を総合すると──

直結 vs ブランコ、船長たちの使い分け
  • 群れの反応に幅がある・サバが多い日は直結。多点掛けを狙える(かみや)
  • 乗りが渋く1〜2杯ずつしか付かない日はブランコが確実(かみや)
  • 潮まわりが良いときは直結有利、悪くなると枝針(ブランコ)有利。切り替えた人が竿頭に(はら丸)
  • ツノのサイズはスルメ主体なら14cm、慣れていなければ14cmブランコでも十分(まごうの丸)
  • 良型主体の日は18cmもあり。ブランコなら18cm推奨(長三朗丸)

沖ノ瀬の1年カレンダー

3つの釣り物が月ごとにどう動くか、記録数で並べたのが下の表。 冬はイカと深場、春に深場がピークを迎え、初夏は瀬の上の五目へ──と、 1年を通してどこかの層が動いているのが沖ノ瀬の面白さだ。

瀬の上の五目
(60〜120m)
イカ
(130〜250m)
キンメ・クロムツ
(300〜500m)
12〜1月◎ ヤリイカ
2〜3月◎ ヤリ+スルメ
4〜5月○ マダイ乗っ込み◎ 最盛期
6〜7月◎ 五目最盛期
8〜11月○ 夏スルメ

※ ◎=記録が集中、○=コンスタントに記録あり、△=記録少なめ。 2024年春に集計を始めたため、秋(9〜11月)は他の季節より記録の蓄積が薄い点は割り引いて見てほしい。

2026年の狙い方まとめ

沖ノ瀬、こう選ぶ
  • 深場デビューしたい・お土産を堅く確保したい太郎丸(小坪)のキンメ・ムツ五目。レンタルでも釣果が出ている
  • 初夏に五目の多彩さを楽しみたい → 5〜6月の瀬の上コマセ・ウィリー五目。秀吉丸(葉山)正海丸(松輪)など
  • 冬にイカの数釣り → 12〜3月のはら丸(長井)長三朗丸(葉山)など。直結とブランコを両方持って行くのが正解
  • コマセ五目の仕掛けはオモリ120号・ハリス3号前後の2〜3本針が目安。船宿によってカゴサイズの指定があるので予約時に確認を
  • 沖ノ瀬は各船とも「凪の日に行ける遠征場所」。海況次第で近場に変更されることも多いので、前日の船宿情報はチェックしておきたい

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