尾長グレが一年じゅう
35〜38cm級
三重・熊野の磯渡船
「川崎渡船」を掘る

三重県尾鷲市の川崎渡船は、船長自ら出船するのではなく 磯へ渡した常連客の投稿を積み重ねる形で釣果を発信している、当サイトの中でも珍しい船宿だ。 過去2年分の報告を通しで見ると、尾長グレ(メジナ)がほぼ毎月登場し、サイズは1年を通じて35〜38cm級で安定している。 真冬でも40cm超えが出ており、「生まれて初めてグレを釣った」「自己新記録」という常連客の声もたびたび記録に残る。 熊野の磯釣り文化を、実際の釣果データから紹介する。

2年分の報告で見えた「主役」

川崎渡船の釣果報告は、磯に渡った常連客が持ち帰った魚種・サイズ・匹数を、船長が一件ずつまとめて掲載する形式をとっている。 2024年4月から2026年8月までの報告を集計すると、 尾長グレが日ごとの報告のほぼ半数近くに登場する、いちばん存在感のある魚種だった。 次いで、口の大きさなど見た目の違いから尾長グレとは別枠で記録されている通常タイプの「グレ」、 根魚のアカハタ、底物のイシガキダイ、コマセ釣りの定番イサキと続く。 磯からの投げ釣り・エサ釣りが中心で、いわゆる沖の仕立て船とは違う釣り方の記録が多いのも特徴だ。

月別に見ても、サイズはほとんど変わらない

報告のあった月ごとに尾長グレの最大サイズを平均すると、次のようになる (報告数が極端に少ない7〜10月は参考にならないため除いた)。

最大サイズの平均 その月いちばんの大きさ 報告日数
12月 34.6cm 43.7cm 23日
1月 35.3cm 43.9cm 29日
2月 37.0cm 45.0cm 25日
3月 37.8cm 45.2cm 23日
4月 37.6cm 45.0cm 22日
5月 37.0cm 45.3cm 24日
6月 36.7cm 41.7cm 19日
11月 35.1cm 43.8cm 12日

※ 各月に報告のあった尾長グレの「その日いちばん大きかったサイズ」を平均した数字。2024年4月〜2026年8月の報告より。

いちばん小さい12月の平均(34.6cm)といちばん大きい3月の平均(37.8cm)でも、差はわずか3cmほど。 春先にサイズが少し上向く傾向はあるものの、真冬でも真夏に近いサイズが出ているのが分かる。 いちばん大きい個体は5月の45.3cmで、2月・3月・4月にも45cm前後の記録が並ぶ。 磯からの尾長グレ釣りは「寒くなると型が落ちる」というイメージを持たれがちだが、 少なくとも川崎渡船の記録の上では、その傾向はそれほど強くない。

常連客の「初めて」「自己新記録」が積み重なる場所

数字だけでなく、常連客のエピソードが記録に残っているのもこの船宿らしさだ。

日付 記録された出来事
2025/1/23 ぐれ48.6cmが自己新記録に。フカセ釣りで1匹
2025/2/14 生まれて初めてグレを釣った記念の1匹が尾長41.9cm
2024/4/8 尾長30〜42.5cmを4匹。40cmオーバーを初めて釣り上げた

真冬の2月に「生まれて初めてグレを釣った」記念の1匹が上がったり、 1月には常連客のグレの自己新記録(48.6cm)が出たりと、 一年を通して型が安定しているからこそ、初心者からベテランまでそれぞれの「一番」が積み重なっていく船だと言える。

読み方のポイント ─ 磯渡船という釣りのスタイル

川崎渡船のような磯渡船は、船に乗って沖で釣るのではなく、船で磯まで送迎してもらい、 エサをまいて魚を寄せる「フカセ釣り」で日中じっくり狙うスタイルが中心になる。 乗合船のように船長の操船で魚を探し回るわけではないぶん、 自分の腕と場所選びがそのまま釣果に反映されやすいのが特徴だ。

熊野の磯で尾長グレを狙うなら
  • 1年を通じて35〜38cm級が出ているため、「今は時期じゃない」と敬遠しすぎなくていい魚種
  • フカセ釣りが中心。エサをまいて寄せる釣りなので、コマセ・エサの持参量に余裕を持つと安心
  • 通常タイプの「グレ」も交じるため、尾が長く伸びた個体かどうかで見分ける楽しみもある
  • 底物のイシガキダイやアカハタが交じることも多く、五目釣りとしても楽しめる

次に狙うなら、平均サイズがやや上向く2〜4月あたりが数字の上では有望だが、 今回見た通り真冬でも40cm超えは十分に出ている。「寒いから」と行かない理由にはならなさそうだ。

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