岩手・三陸のイカ船は
「便」が3つある
荒神丸の朝便162杯・深夜便150杯、
健勝丸のサビキ270杯

8月27日、花露辺の荒神丸深夜便で竿頭150杯。 その3日前の8月24日、小白浜の健勝丸では サビキ仕掛けで270杯ちょっとという人が出て、乗った人の8割が100杯を超えた。 釜石大船渡のイカ船は出船時間が3通りあり、8月後半は「何杯釣れる海か」より 「どの便に、どの仕掛けで乗るか」で数字が動いている。

夜便・深夜便・朝便 ─ 同じ港で3通りの出船

イカ船といえば日没後に出る半夜便を思い浮かべる人が多いが、釜石大船渡の3港(花露辺・鬼沢・小白浜)はそれだけではない。 荒神丸は深夜便と朝便を出し、 健勝丸は夜便と深夜便を同じ晩に2回転させる。 慶漁丸は夜のスルメイカ釣りが主力だ。 つまり「今夜イカに行きたい」と思ったとき、三陸では出船時刻から選べる。

日付 船宿(港) 便 釣果(竿頭) 釣果報告から
8/8 荒神丸(花露辺) 深夜便 140 杯 静かな立ち上がりから途中でラッシュ。2杯・3杯掛けが続き型も大きめ
8/15 荒神丸(花露辺) 朝便 162 杯 時化明けの出船。錨を入れてから釣れ出したが、サメの妨害も何度か
8/15 荒神丸(花露辺) 深夜便 114 杯 良型が混じる展開
8/16 荒神丸(花露辺) 朝便 121 杯 潮が速すぎず、後半にかけてペースが上がった
8/16 健勝丸(小白浜) 夜便 130 杯超 時化休み明け一発目の出船
8/16 健勝丸(小白浜) 深夜便 70 杯超 同じ夜の後発便
8/16 慶漁丸(鬼沢) 夜便 70〜204 杯 潮が緩く凪。180杯前後の人が4人という入れ乗り
8/22 健勝丸(小白浜) 夜便・深夜便 140 杯超 両便とも潮・型・ペースがそろった
8/24 健勝丸(小白浜) イカ便 270 杯ちょっと(サビキ) 乗った人は全員70杯以上、8割が100杯超え
8/24 慶漁丸(鬼沢) 夜便 50〜90 杯 浮きは少なめだったがサイズが良かった
8/27 荒神丸(花露辺) 深夜便 150 杯 最後まで途切れずに釣れ続けた

※ 2026年8月の各船の釣果報告より。数字はその日いちばん釣った人(竿頭)が中心で、 慶漁丸のみ「1人あたり◯〜◯杯」という幅の表記。日付は釣行日、報告に釣行日の記載がない分は報告日で並べている。

並べてみると、便による性格の違いが見えてくる。8月15日と16日の朝便は162杯・121杯と、 深夜便の114杯を上回った。逆に8月16日の健勝丸は先に出た夜便が130杯超、後から出た深夜便が70杯超と、 同じ晩でも順番が入れ替わっている。どの便が有利かは固定ではなく、その晩の潮と群れの浮き方で決まるということだ。

数字を左右したのは潮・凪・そして先客

8月後半の報告を読むと、数字が伸びた晩には共通の言葉が並ぶ。「潮が緩い」「凪」だ。 8月16日の鬼沢は潮が緩く凪で、180杯前後の人が4人という入れ乗り。 8月22日の小白浜も両便そろって潮・型・ペースが良く、140杯超えだった。 8月16日の花露辺の朝便も「潮が速すぎない」ことを釣れた理由に挙げている。

一方で、伸び切らなかった晩の理由もはっきりしている。波が高くて湾内に避難した日、 いつものポイントに他のイカ船が先に入っていた日、そして錨を打った先にサメが回ってきてしまった日。 8月下旬には竿頭でも30杯前後にとどまった渋い晩もあり、この釣りが毎回同じ数字にはならないことを示している。 釜石大船渡は湾の出入りが複雑で、風向きが変われば避難できる場所もある。 出船中止にはならなくても、行き先が変われば釣果は変わると考えておきたい。

仕掛けの差も無視できない。8月24日に小白浜で270杯ちょっとを出したのはサビキ、 つまりスッテを枝で何本も付けて一度に複数を掛ける仕掛けだった。同じ晩、乗った人は全員70杯以上を持ち帰っている。 イカメタル(金属製の重りにカンナが付いた疑似餌を上下に動かす釣り)は一杯ずつのやり取りを楽しむ釣りで、 数を伸ばしたいならサビキ、アタリの瞬間を味わいたいならイカメタル、という選び方になる。

8月下旬は「数」から「型」へ

もうひとつ、8月半ば以降の報告に繰り返し出てくるのがサイズへの言及だ。 鬼沢では8月19日に「イカのサイズが良くなってきた」、8月21日と24日にも型の良さが触れられている。 花露辺の深夜便も良型混じりを伝えており、8月8日には2杯・3杯掛けが続いて型も大きめだったと報告している。

1人あたりの数字だけを見れば、8月16日の204杯や24日の270杯ちょっとといった突出した日に目が行く。 ただ、同じ100杯でも中身の重さは変わってきている。スルメイカは秋にかけて成長しながら南下していく魚だ。 三陸の群れが胴の太い個体に入れ替わりつつあるとすれば、 9月に入っても「数はそこそこ、型は上々」という釣りが続く可能性がある。

釜石大船渡のイカ船に行くなら
  • まず便を選ぶ。翌朝そのまま予定を入れたいなら深夜便や朝便、仕事終わりに向かうなら夜便が組みやすい
  • 数を狙うならスッテを枝で複数付けるサビキ、1杯ずつの誘いを楽しむならイカメタル。船宿にどちらが向く日か聞いてから仕掛けを用意したい
  • 波が高い日は湾内など釣り場が変わることがある。前日の告知と当日の海況を必ず確認してから向かう

岩手は当サイトが収集を始めたばかりのエリアで、昨年との比較はできない。 それでも8月の1か月分だけで、便と仕掛けと潮という3つの変数が数字をどう動かしたかは十分に読み取れる。 三陸のイカは、予約の電話をかける前から釣りが始まっている。

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